土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
来月から始まる新年度にむけてスーツを新調しようとお考えでしたら、覚えていて欲しいことがあります。
それが今日のタイトルです。
スーツの基本はウールです
- ウールとは羊毛、羊さんの毛です
ご存知の通りウールとは羊毛です。
人類が最も多く利用している獣毛繊維で、紀元前からお付き合いのある非常に歴史のある素材の一つで、その羊さんから刈り取り製品化するとウールになります。
何故、獣毛繊維の中で現在も最大の生産量を誇るのか?
羊毛は年に数回刈り取ることが出来るのです。
例えば、かつては繊維の宝石と呼ばれたカシミア(山羊の毛)は一年に一回しかも、刈り取るのではなくうぶ毛を梳く(すく)ように採取するので生産量は非常に少ないのです。
それに比べて圧倒的に安定していることから現在も獣毛繊維の中でウールが基準になっています。
生産地もオーストラリア、ニュージーランド、最近は中国も多いのかな?と一大生産国がありますから、安定して供給出来るというものありますね。
そしてなぜ本題のなぜウールなのか?にいってみましょう。
- ウールは夏は涼しく、冬暖かい繊維
ボクは別にウールマークカンパニーの回し者ではありませんが(苦笑)、ウールは神様がプレゼントしてくれたもっとも優れた衣料品の素材なのは間違いありません。
ウールの機能利点は様々ありますが、一つ挙げるならウールというのは夏は涼しく、冬は暖かいという二律背反する性能を持っているということでしょうか。
ウールというのは人間の髪の毛と同じようにキューティクル、表現を変えるとスケイル(うろこ)があります。
これが湿度に反応して閉じたり開いたりして調湿してくれます。
夏は放湿し、寒い問いは熱を逃がさない様にしてくれるという凄い機能を果たすのです。
植物性や他の獣毛をはじめとする動物繊維、はたまた化学繊維で同じ性能をもつものはありません。
だって世の中夏用スーツもあれば冬用スーツもあるではないですか。
どんな季節も一番快適に過ごせる素材をチョイスするとなるとウールがベストだから採用されているのです。
もっともいかに涼しく出来るか、暖かく出来るかはそのウールをどのように紡績して織り上げるかによって大きく変わります。
ですから同じウールでも夏用と冬用は見た目からして違うのは当然ってことですね。
植物系ではコットンや麻素材、最近は安価なポリエステルをはじめとする化学繊維系もスーツの素材に採用されていますが、ウールと同等の性能は引き出せないのが現状です。
というより無理ってことです。
化学がどんなに進歩しようが天然物には敵いません。
ちなみにウールそのものは洗えるんですよ。
だって雨の日びしょ濡れになっても大丈夫でしょう?
もし洗えないんだったら羊さんはそもそも生きていけないですから。
それでも水洗いではなく、ドライクリーニングに指定されているのは、ウール以外の副資材に問題があるからです。
スーツというのは裏地や芯地といったパーツをミルフィーユのように何層にも重ねてあのスーツという形にしています。
それらの一つひとつのパーツの萎縮差がそれぞれ違う為にパッカリング(ポコポコするやつ)や歪みが発生する可能性があるので、リスクを取ってドライにしているということです。
なのでちゃんとしたクリーニング店では水洗いが出来ますし、本来はとても丈夫な素材なんですよ。
シワも回復するし、汚れも防いでくれるし、メリットは数多くあります。
- まとめ
これからスーツを購入しようとお店を覗いたら、内ポケットに付いている品質表示を見てみましょう。
ウール100%だったら安心して使えるスーツです。
お買い得だからと言って安易に購入する前にちょっとだけこの表示タグに注意してくださいね。
それでも店員さんが、ポリエステル混紡とか化繊100%、あまりありませんがコットンなどの混紡素材を、平気で勧めてきたらそのお店はパスして次に行きましょう。
スーツなんてどこにでも売ってますから、ひと手間かけても正解を選んでもらいたいと思います。
それでももし迷っていたらお気軽にボクまでご相談くださいね。
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