土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
スーツやジャケットに使われる生地の良し悪しについてのお話。
以前にも何度か書いていますが、Super表記のことについて。
過去記事をごらんいただければ全部書いています。
過去記事を読むのがめんどくさい人向けに再度書きますとこうなります。
Super表記とは糸の太さを表す単位ではありません。
・Super表記とは羊から刈り取った原毛の品質を表す単位
・糸の太さは番手
ということです。
Super120’Sという細い糸を使っているからしなやかで柔らかいという表現は違うということです。
Super100’Sだろうが150’Sだろうが、80番手の糸にすれば、80番手の太さになります。
例えるならば・・・
金塊1㎏と羽毛1Kgのどちらが重たいでしょうか?
と同じことです。
伝わってますよね?
- 生地の良し悪しはSuper表記だけではない
高Super表記の生地は確かに滑らかな風合いになっています。
そりゃそうです。
この世にそもそも存在しえないくらいの産毛の中の産毛の繊細な原毛を使った糸で織り上げれば確かに滑らかな風合いになり、ツヤも出てきます。
でもそこまでしなくても同じような(同じではない)ツヤであったり滑らかなような生地にすることも出来ますし、現実に大人気ですね。
コストは半分以下で見た感じ同じようだったら、それは売れまっせってことですね。
これは最初に戻りますが、糸の太さは番手ですから原毛うんうんよりも細い番手の糸にすればいいってことになります。
もうちょっとズルいことを書けば、紡績時にその糸のスピニング(撚り)を甘くしてやれば柔い感じになり、さらに織り上げる時に経糸の本数を減らせばいいわけです。
こうすることで優しい風合いになっていきます。
レディスに使われているような風合いということですね。
もちろん耐久堅牢度は落ちてきますから、値段相応になってきます。
そもそもコストが同じではないのでこうなりますよってことです。
これを逆に言えば、コストのかかっている低Super表記生地のほうが風合いが良かったりすることは結構あります。
むしろ耐久性も良くなって良いことしかないってことです。
最終的にはコストによって決まってくるわけですが。
機屋さんも生地商社さんもそれでごはんを食べているわけですから。
ただ、間違いなく言えるのは日本で手に入る欧州圏の生地はハズレはないです。
わざわざ目の肥えた世界一品質にうるさい民族相手に粗悪品で一儲けしようとすること自体がリスクでしかないですし、そもそも服地ビジネスがそんなに美味しい商売じゃないですから意味が無いんですよね。
アジア圏の生地は正直よくわかりません。
日本の生地はピンキリです。
安価過ぎる生地は値段そのものですし、良い生地は当然良くなります。
とどのつまるところ、Super表記はあくまでも目安にしておきましょうということが言えるわけです。
もしスーツを購入する時にラベル表示に値段不相応な高Super表記がある場合にはなにかがあるということですし、気になる時ははちゃんと質問したほうが良いでしょう。
そしてちゃんと説明してくれない場合(これはSuper150’Sという極細の糸を使っているんですとか)はお店を変えた方がいいです。
その程度ってことだから。
おそらくボクのブログ読者であるみなさんのほうが詳しいはずですから(苦笑)
トラブルになる前に良いお店とスタッフさんを探しましょう。
えっと。。。
もちろんボクは正真正銘の全部お話してしまう人ですけどね(苦笑)
生地で気になることがありましたら、お気軽にご相談くださいね。
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