土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
まずは画像をご覧いただきましょう。
- こうした手間がオーダーメイドです
ということで柄を合わせることをちゃんとしています。
これは相当手間がかかるんです。
当たり前といえば当たり前なんですけどね。
一昔前まであったストライプ柄ならまだ良いのですが、現在のようにチェック柄は縦横に柄を合わせることが必要になります。
生地には当然表裏もあれば、方向もあるし、何よりも一般的には生地の幅は150センチしかない。
無限に生地を取り放題ってことじゃなくて、いかに少なく済ませるかがオーダーメイドなのです。
この辺りはロットで流す既製服と違ってシビアなんですよね。
個々に作成しますから、無駄なく使い切りたいのです。
だって余らせたら・・・ということです。
そこの柄を調整するんですから大変なんですね。
この手のネタは過去にもたびたび書いている気がするのですが、今だからこそこういうネタも発信しておきたいかなと感じています。
世の中テレワークだけじゃないんだよってこと。
物理的にこうして手間を惜しまずにキチンと合わせてくれる職人さんが頑張ってくれるから、世の中が動いているってことですかね。
ちなみに小ネタとして、こういう胸ポケットの仕様のことを台場仕立てと言います。
飛び出しているところがまさに地名であるお台場(江戸時代は海岸を守る砲台の場所だった)のようだからそう命名されたそうな。
近代のスーツの発祥国であるイギリス、礎を築いたアメリカ、文化としてのイタリアではさっぱり流行りませんしほぼ見かけることはないでしょう。
切って貼り付けたなんちゃって台場がせいぜいよいところですし現実にボクの基本はその仕様で作成しています。
画像のような見返し一枚で贅沢に使うことを本台場とか丸台場なんて呼び、ほとんど純国産くらいしか見かけないはずです。
きめ細やかな痒い所に手が届くところまで製品化する日本ならではの仕様ということですね。
もっとも現代のスーツのポケットにモノを入れるまたは、リペアして使うという明治維新に勃興した文化はめっきり廃れてしまいましたので、単純に羽織る人のこだわりを表現しているという意味合いになっています。
この仕様もけっこう手間がかかっているんですよ。
せっかくだからもう一枚。
こういう袖釦を重ねるもの簡単なようで手間かけてます。
機械でガシュガシュ出来ないから。
既製品ではやりたがらないんですよ。
それといつものように釦ホールを一か所だけ変えるものもそう。
その為にマシンの糸を変えますからね。
どうでしょう?
愛着の湧く一着、世界に一つしかないのが既製服の受注生産方式ではない真のオーダーメイド。
手間をかけた一着を羽織りたくなってきませんか?
毎日の生活にほんのちょっと幸せを感じることが出来るのではないでしょうか。
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