ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
紳士服業界が壊滅的に不況です。
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- もうビジネスモデルとして成立していないのではないでしょうか
以前もこのネタで何度か書いているような気がするのですが、いつだったか思い出せないので改めて感じることは、もうビジネスモデルとして成り立たなくなっているのかもしれませんね。
ビジネスにおけるスーツ需要は確実に減っていることもそうですが、そもそもその大元となる労働者人工そのものが減り続けている以上、現状維持なんて出来ないわけです。
パイに対して多すぎなわけです。
そして、もう時代じゃない販売方法が世の中から見放されてしまっているんじゃないか。
そんな風に思います。
郊外型の単独店もショッピングモールのテナント店も不要というわけではなくて、確実にニーズはあるはずなのですが、もう身の丈に合わないようなビジネスモデルは成立しないでしょう。
専門性はないのであくまでも個人的な推論でしかないのですが、かつて呉服業界が衰退していったのと同じように規模はどんどん縮小していくのでしょうね。
今後は半端なところは統廃合され、どこでも同じようなモノしかない売り場になっていくことでしょう。
でもね。
そう仕向けてきたのはこの業界自らであり、それは自業自得でもあり、市場に対する背信行為だとボクは思っています。
だってスーツは必要なわけです。
この世から消えてなくなることはない衣服ですからね。
世界で一番スーツを着る民族なんですからね、日本人は。
たしかにスーツを着用しない人の発言力は増していますが、国家元首クラスの人達が全員Tシャツとデニムにスニーカーには今現在はなっていませんからね。
未来世界はそうなるかもしれませんが、今のところ世界でもっとも信用される装いはスーツなのは間違いありません。
だからビジネスでスーツを着用されるのでしょう?
スーツ=不要という論調はそもそもスーツを着用しない人達に踊らされているだけで我々のようにスーツという信頼を担保された装いを必要とするビジネスパーソンとは違うカテゴリなわけです。
それでも時代の変化していますから、昔のような古めかしいスタイルではない新しい装いになってきていますし、ボクはそれが必要だと思う正統派のリベラリストです。
服飾は文化ですから一定ではないわけで、いつまでも過去にこだわっているようでは古き良き時代を語りたいだけの武勇伝オジサンになってしまいますからね。
それだけ変わっているのに、しかも(2007年問題)といわれていた当時からこうなることは誰もが分かっていたはずなのにこの結果ですからね。
かつてのコダックと富士フィルムみたいなもんですよね。
どちらが生き残ってどちらが消えてしまったのかではなくて、全滅パターンとか・・・
しかもこれって、構造的に相当ヤバいと思いますけどね。
スーツは当然誰かが作っているわけで、その人達はどうするのか。
その人達が使う道具(ミシンのメンテナンスやハリの調達等々)のメンテナスの人達はどうなるのか。
海外に生産拠点を作り続け、アジアの果てまでそのルートを作りながらそれが消えてしまった時にどうなってしまうのか。
怖いですよね。
人的なスキルや精密マシンを維持するのって一度立ち消えちゃうと再現することそのものが困難に。
しかもそもそものスタート地点がコストカットですからね。
この手の話はオーダー業界でも話し合われていて、危機感はあります。
既製服はもう伸びしろが無いからオーダーに進出しようと躍起になっているのが今のアパレル業界で、何でもいいからオーダーと名乗れば良いという状態になっています。
既製服の受注生産であってオーダーと呼べてしまうし、フルオーダーという表現にも規制はありませんから言ったもん勝ちというこれまた極めて不安定な危険性を秘めています。
ボクは国内に存在しうる縫製職人さんを正しくプライドを持ってお仕事をしていただきたいし、次に繋げて欲しいという想いでココアッソを立ち上げました。
これは創業当時から変わりませんし、変わることはありえません。
紳士服業界全体が沈没していく中でボクが出来ることはたかがしれていますが、少なくともボクがご縁を繋がらさせていただいている人達にはこれからも変わらずに、正直にお付き合いをさせていただきますし、今後ともお仕立てさせていただくその一着は確かに安価ではありませんが、多くの手間をかけて大切に仕上げさせている、そして未来を創るためのコストになります。
先日のニュースを見ていてそんなことを考えています。
これからも正直な商いをしてまいります。
何卒宜しくお願い致します。
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