土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
Super表記というのがあります。
オーダーメイドスーツでどの生地を選ぼうかと色々調べていくと必ずこのSuper表記にたどり着くでしょう。
大切なことですので、定期的にお伝えしていることではありますが、このSuperとは糸の太さではありません。
生地のきめの細かさ、すなわち糸の太さは「番手」が正解です。
- Super表記のマジック
スーツ屋さんの店員さんも結構わかっていないこのSuper表記とはなんでしょうか。
これは、羊さんから刈り取った原毛の品質を表す単位です。
この数値が高くなるほど高品質ということですね。
その原毛をミクロン単位でクラス分けしているのがSuper表記となります。
このSuperのメリットはなにか?と言えば、その上質感をある程度数値として可視化していることでしょう。
この数字が高いほうがなんだかよさげに感じるはずです。
ただですね、この数字が高ければよいとは限らないのです。
というのも年々数値が高くなっている化が起きているのです。
例えばこれはかつてのスキャバルのビンテージバンチブックです。
よく見るとSuper80’Sと表示されているのが確認できるはず。
そう世界で最高品質を誇るスキャバルでさえ80’Sあたりが基準になっていました。
今から20年以上前ですが、ウールマークを発行している現ウールマークカンパニーのアジア太平洋支部の局長のお話でも同様のことをお話されていらっしゃいました。
数値の高さばかりが目立ってしまいますが、それが必ずしもみなさんにとって求められるスーツにハマるわけではないのですね。
スーツ屋さんにいくとなぜか左袖に生地元の織りネームがしつけられているはずです。
生地ブランドやコレクションの表示がなされている場合が多いですから、並んでいたらどうしても数字が高いほうがよく見えちゃいます。
それがSuperのマジックです。
必ずしもそれが正解とはならないのですね。
先ほども申し上げた通り、現在の生地の高Super化は現実的に着用するスーツとしてはあまりにもデリケートすぎる領域のものが多いです。
なのでボクもスーツは一生モノではないですよ、的な話を定期的に発信しています。
持たないんです。
テカるし、ほころぶし、破けてしまいます。
現代の体にピタッと沿うように仕立てると、動いた分の負荷がダイレクトに生地に掛かってしまいますので、なってしまいますよね。
これは致し方がない。
- Superより大切なのは?
自分の目的に合わせた生地をチョイスする勇気を持ちましょう。
130’Sよりも100’Sのほうが合う場合があります。
逆に160’Sが良い場合もあります。
スーツの目的はそれこそ千差万別です。
みんな違います。
そこでその目的から絞りこむことが大切です。
かつてイニシャルDという漫画で主人公である藤原拓海の乗る86に勝負を挑んだ赤城レッドサンズの高橋涼介が、自分の愛車であるFCの馬力をあえて下げてバトルに挑んだように、最高出力が勝負のカギにはならないのです。
または最新のハイパワー4WDマシン相手に勝ち続けてきた非力な旧車86のように乗り手とその特性に合わせた絶妙なチューニングのほうが良かったりするってことですね。
たとえがちょっとマニアックすぎるかもですが。
少しまとめますと、その生地の良さを生かすも殺すも、その目的に合っているかどうかになります。
そしてその目的に合わせたセッティングをしましょう。
例を挙げれば、ボクはスーツと礼服では同じ方でもその仕上げの数値は変えています。
ビジネスで使うスーツと礼服では活躍する場が違うからですね。
そして生地質も違いますから、それを最大限に生かす方向で設計するというわけです。
世の中には本当に沢山の生地があります。
目移りしちゃいます。
そして数値が高ければ高いほどよさげに見えますが、本質は目的に合っているかどうかが大切ということ。
では実際にどのあたりがよいのか?は人それぞれです。
それこそがパーソナルオーダーメイドの世界ではあります。
パターンオーダーではできないカウンセリングしていきながらベストな一着をみつけていく。
ちょっと売り込みになってしまいましたが、ココアッソはそんなオーダーメイドスーツスタジオでございます。
より一歩踏み込んだ一着をお探しでしたら、ぜひいちどお話いたしましょう。
何かしらの解決の糸口が見つかるかもしれません。
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