ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
驚異的なストレッチ性を持つオーダージャケットが完成しました!
オーダーメイドにとって最大の難問とも言ってよいのがこのストレッチ性です。
非常に難しいです。
何故かというと、正確に仕上がらないから。
カットする、縫い上げる時にズレていってしまうのです。
仕上げのプレスで伸びるか縮むかどっちかに必ずズレていきます。
元々オーダーメイドに携わる人はその数値にこだわりを持ちます。
その通りでないと気が済まないわけで、そうなるとこのストレッチ性というのは非常に悩ましいのです。
今ではストレッチ性なんて当たり前の機能に思うかもしれませんが、精密を売りにする仕立屋とはあまり相性が良くないわけですね。
それを今回挑戦してみました。
- ストレッチの秘密は生地にあり
今回のストレッチ性のあるジャケットを作成しようと思ったのはこの生地と出会ったからです。

チェルッティのオキシゲンというジャケットコレクションよりチョイス
イタリアのチェルッティという織元(ミル)のサッカーという素材です。
編み物(ニット)と違って織物(テキスタイル)はそもそも極端なストレッチ性は出にくいのですが、これはニットにも勝るとも劣らないとんでもない伸縮性があったのです。

タテにもヨコにも伸縮する驚くべき素材です。
ウール素材でこれ程のストレッチ性がある生地はそうそうないんじゃないでしょうか。
ただテロテロで伸びてしまうわけでもなく、キチンと伸縮する生地の秘密はこのデコボコしたサッカーという織物だからでしょう。
このサッカー素材というのは通常は盛夏用の薄い生地で使われます。
それをあえて冬用に持ってきたところに惹かれて、作成してみることにしたわけです。
そして完成したのがコチラです。
- デザインはターナースペシャルカットのアンコンバージョン
デザインはなで肩で前肩のボクがボクの為にデザインしたターナースペシャルカット仕様にしています。
さらにはよりラクにするために裏を抜いた大身返しのアンコン使用でリラックス出来るようにしています。
ストレッチ性の旨味を活かした仕様ですね。
ちなみに肩部分やベストの裏側に使う裏地もストレッチ性を持つ素材にしていて、徹底的快適さを考慮した設計です。
もちろんシルエットのカッコ良さも折り紙付きです。
で、肝心のストレッチ性はどうかというと・・・
恐ろしいほど伸縮します!
正直既製品にあるジャージ系素材の安価なヤツの比ではないこのストレッチ性を感じます。
驚くほどの快適性です。
仕立屋の自分が言うのもなんですが、こんなジャケットは初めてです。
昨今見直されてきているカッチリ感を出す正統派の仕立も良いですが、脱スーツに流れている時代に合わせてこういうリラックス出来るジャケットもありかと思います。
というよりこの感覚を知ってしまうともう窮屈な着心地に戻れなくなりそうですけどね。
もちろん良いことばかりではないので、一応デメリットも書いておきます。
まず、これはジャケット専用なのでパンツは不可です。
理由はパンツに要求される堅牢性を確保出来ないからです。
もう一つはやはり精密な仕上がりにはなりませんので、誤差は若干出ます。
そもそもリラックス出来るジャケットなのでそのあたりも良さと思っていただければ幸いです。
なんにしてもこの驚異のストレッチ性を持つジャケットがオーダーメイドで手に入れることが出来る時代になったということです。
今ですとサンプルとしてスタジオにご用意していますので、その驚異的なストレッチ性をお確かめ頂けます。
ぜひご検討してみて下さいね!


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