ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
ストレッチの効いた生地がこの世には存在します。
特段目新しいことではなく、カジュアルの世界ではごく一般的に出回っています。
ユニクロをはじめパンツ類はこのストレッチを効かせた素材がもはや大多数を占めているのではないでしょうか。
近年このストレッチ性を重視したスーツ、ジャケット素材がいよいよ本格的になってきました。
元々ストレッチを謳う生地は昔からありましたけどね。
いよいよ大手が本格的に参戦してきたことにより、今後スーツ生地市場ではこのストレッチというのがキーワードになると思います。
- スーツは元々適度なストレッチ性がある
スーツ等の元の原料はウール(羊毛)です。
このウールという素材は元々クリンプ(縮れ)があり、引っ張りに対して伸びても元に戻る性質があります。
ですから一般的なスーツ生地においてはある程度動きに対して生地そのものが伸び縮みをして反応出来るようになっています。
モヘア(山羊)はこのクリンプがないストレートヘヤですから、着用されたことがある方はもうお分かりでしょうが、ストレッチ性がありません。
コットン(綿)なども同様ですね。
そして、今このスーツ生地市場がざわざわしているのは、そんなナチュラルなストレッチ性などという生易しいレベルではない、伸びる生地のことをいいます。
ウールのみでこれをなしえる為には、かなり化学的な処理、紡績からいじらないといけなくなりまた伸びっ放しになるという耐久堅牢度の面においてもなかなか手を出しずらい部分がありました。
この耐久堅牢度という要素はとても大切で、特にオーダースーツというカテゴリにおいては消耗品という概念がなく、あくまでも正しく装う為のファブリック(生地)という認識が多数を占めていたのです。
ボクもこれまではその考えを持っていました。
が!
今年からちょっと改めようと思ったわけです。
上でも書きましたけど、欧州圏の名だたる大手のミル(織元)やマーチャント(商社)がこのストレッチ性のある生地を本格的に打ち出してきました。
日本で有名どころではスキャバルは今秋から、ドーメル一歩先んじてストレッチ素材を投入して大ヒット。
ミルではロロピアーナがこのストレッチで大ブレイクし、ついにゼニアも本格的にココに手を伸ばし始めています。
ボクの感想としては・・・
ありかもしれない・・・
これはゼニアにとって久々にヒットになるのではないでしょうか。
- なにが凄いのか?
恐るべきストレッチ性があります。
これ春夏コレクションですから、すごい軽い生地ではありますし、ゼニアだけあって風合いも悪くないです。
これだけだったらクールエフェクトのほうがいいじゃないかと思うわけですが、この生地のストレッチ性は過去のゼニアでは考えられないアバンギャルドさを感じます。
来るべきものが来たって感じですね。
ネタを明かすと、これ1%ライクラが混紡されています。
ライクラとは元は米国のケミカルインダストリーであるデュポンが開発した簡単にいうとゴム状の繊維です。
今は分社化してインビスタが権利を保有して日本では東レがライセンス生産しているはず。
カジュアルの世界では一般的になっているこのケミカル繊維を世界に冠たるゼニアが遂に手を出したことが凄いんですね。
- 今後はこのストレッチ性というカテゴリがキーワードに
確実にそうなるでしょうね。
ボクもいいと思っちゃいましたから。
耐久堅牢度などはその素材の特性上、また現代の着こなしのスタイルやデザインから鑑みれば確実に落ちます。
最終的には伸び伸びになっていくはず。
それでもコレを投入してくるということは、それを差し引いてもニーズがあるということなんでしょう。
要注目です!
- ということで、ボクもストレッチ生地で夏ジャケットを作成します!
ウールだけど1%だけライクラ入りで驚くほど伸び伸びして夏場でも快適そうなヤツを作成予定です。
気になる?
そろそろ作成いたしましょう!
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