ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
コートのポケットのお話
オーダーでコートを作成する時にこのポケットをどんな形にするかを選択する必要があります。
基本的なルールはありますが、現実的にどう使いたいか?からボクは作成をしています。
オーセンティック(正統派)もいいですし、使い勝手優先でもいいでしょう。
どちらが正解なのかではなくて、どれを選んでも正解というわけです。
- 具体的にどう選択するのか?
二つ例をあげてみましょう。
・フラップ(フタ)付きポケット

雨よけ、泥除けなどのいい方もあるのが、このフラップです。
コートは室内で羽織るものではなくて、外で羽織るものです。
ですから、チェスターフィールドコートなどのフォーマルウェアにも対応するデザインであろうともこのフタは基本的に付けます。
利便性がどうのこうのと言うよりも、基本中の基本がこのフタ付きと覚えておいてもいいでしょう。
元々ポケットという存在自体がその歴史を辿っていくと、その存在自体がなかったわけですから、どちらかというと飾り的な意味合いのポケットですね。
ですから当然モノを入れるという前提ではないということです。
ということは手を入れることもしないほうがスマートですよね?
- ハコ型ポケット

斜めに切込みを入れているのが、通称ナナメハコポケット
コートは装いという観点とは別に外套(がいとう)といって、寒さを防ぐことも目的ですね。
この寒さを防ぐという実用性から発展していったのがこのハコポケットです。
このポケットの別名をハンドウォーマーといいます。
手袋もないむき出しの素手では寒いでしょう?
手を暖めるという目的もポケットに追加されていったのですね。
このポケット、フォーマルウェアとしての使用が可能かどうかと問われれば、現代ではなんら問題ないでしょう。
タキシード、ディナージャケットがドレスコードで指定されているような場所でも、問題ないはずです。
そもそもコートとはホコリ、汚れを持ち込まないように室内に入る前に脱ぐというマナーがあります。
それに照らし合わせれば、手が悴む(かじかむ)ような時に手の寒さを防ぐという現実的な使い勝手がありつつ、パーティーや礼装までなんでもこなせるポケットと言えるでしょう。
ちなみに近代ではもう少し発展して、貫通ポケットになっている場合もあります。
これはコートを貫通して、その内側に着ているジャケットやインナーまで手が届くように出来るようにしているということです。
それがどういうメリットがあるかはボクにもわかりませんけどね。
とりあえず手を突っ込みたくなる人にはオススメですね。
オマケ
- パッチポケット+フラップ

パッチポケットにさらにマチをつけてそこにフタを付けています
切込みを入れずに別布を当てて作るポケットを、通称パッチポケットと言います。
画像のポケットはアウター的な要素として膨らむようにマチを入れています。
用途としては、モノを入れることはしないわけで、単なるアクセントとしての意味合いにしておいたほうがいいでしょう。
元々冒険家の人のためのポケット的な意味合いがありますから、カジュアルな雰囲気にしたい場合にはこういうポケットも面白いでしょう。
- まとめ
オーダーコートといってもどう使いたいのか?によって選択は変わっていきます。
そしてどれが良いか悪いかではなくて、自分がどうありたいか、どう使いたいのか?からシンプルに選べば大丈夫でしょう。
選んだデザインが正解ですからね!
他にも色々ありますから、気になることはとりあえず相談してくださいね!
そしてステキなオーダーライフを過ごしてくださいね!


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