ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
ハイテク繊維が当たり前の現代においては当たり前の機能がいくつかあります。
その一つに撥水、または防水といった機能がありますよね。
テキスタイル(織物)においてこの撥水、ないし防水があるとても便利です。
アウターウェア、グローブ、シューズなどこの機能があると助かります。
特にアウトドア用品では必須な機能でしょう。
今では単に水の侵入を防ぐだけではなく、内部の湿気は放出するような透湿、調湿機能まである素材がごく普通に存在しています。
ゴア社のゴアテックスとか有名ですよね。
単独一枚のテキスタイルではなくて、数枚の複合材料を張り合わせたボンディング生地なるものまでが一般化し、快適な生活に欠かせないもの(みんな気が付いていないとおもいますけど)となっています。
さらには気温の変化によってリキッドになったり固形になったり変化し、保温や冷却までするような素材まで市場に出回っています。
ものすごい時代です。
では、こんなすごい素材がどこでも存在する以前はどうだったんでしょうか。
実は先達の知恵であるんですよ。
ハイテク素材にはまったく敵いませんが、防水素材として使われている生地があるのです。
それが、オイルド素材です。
BRITISH MILLERAIN社(ブリティッシュミラレーン)という英国の会社があります

かなりマニアックな生地なんですよ!
創業100年以上もある歴史のある生地の機屋(ハタヤ)、つまり織物メーカーです。
この会社単に歴史があるだけじゃなく、特殊な昔ながらの生地を作り続けています。
それがオイルドコットン素材です。
コットン素材の生地はどこにでもありますが、それを高密度織物で織り上げることが出来る織機をもっているんですね。
簡単に言えば生地の目がギュッと詰まっているのです。
そこにワックスを塗ってコーティングするという特殊な織物です。

画像では中々この生地の面白さは伝わりづらいかもしれませんね。
このワックス感を感じる独特のオイリーな風合いやニオイは他ではないんじゃないでしょうか。
合成繊維が世界で初めて開発されたのが1935年のナイロンと言われています。
そしてそれらが実用化されるまでは、オイルドコットン素材がアウターウェアには欠かせない素材としてごく一般的に存在していたんですね。
油分で水の侵入を防ぐのが最善だったんですね。
もはやこんなクラッシックな生地は存在しないのかと思いきや、ちゃんと生き残っているんです。
ある意味すごいことなんですよ。
ということで、こんなマニアックなブリティッシュミラレーン社の生地を手に入れることが出来ましたので、さっそくコートを作成してみたいと思います。
さてさて、どんな風に仕上がるのでしょうか!?
お楽しみに!


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