ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
スーツのちょっとパーツにも意味があるんです
たまにはちょっとした小ネタをご紹介します。
普段何気なく使っているスーツのちょっとしたパーツには意味があるんですよ。
取り立てて主張もしてないし、絶対に無いといけないものでもない部分を二つご紹介してみましょう。
- Dカン
ポケットの留めの部分をカンヌキといいます。
これはここからほつれないようにしっかりと補強していますよね。
通常はI管と言います。
一本のカンヌキで留めているのです。
それをD型にステッチを入れている場合があります。
それを通称Dカンと呼ぶのです。
・これは何の為なのか?
実はこれはポケットを使った時に、このカンヌキに一番負荷がかかるのです。
その力を分散させるためにあるのですね。
一点に集中させないで放射状に力を逃がしてあげるようにこのようにしているのです。
基本は使わないのが一番ですけどね!
・オマケとして、ジャケットの腰ポケットのフタのことをフラップと言います。
このフラップは雨よけって呼ばれています。
通常は外に出しておくのが正解なんですよ。
どうしてもポケットの内側に仕舞いたい時は、室内のキチンとしたパーティシーンなどで仕舞いましょう。
どうしてかって?
だってタキシードにこのフタは付いていないでしょう?
ジェームズボンドの画像を見て見てくださいね!
- ヒゲ
あごひげのことじゃぁありません。
ジャケットのエリの裏側をめくってみると・・・
エリ裏のフェルトに折り返すように表生地が付いているものがあります。
これを通称ヒゲと呼びます。
現代のスーツはほぼ消耗品という立ち位置になってしまっていますので、ほぼこれが機能することはありません。
正直飾りです。
ジオングの足みたいなもんです。
・ではこれは何なのか?
昔はスーツというのは一生モノ、または次の世代に受け継がせるモノとしてのクオリティを持っていたのです。
それだけ大事に使っていて、かつ丈夫に作られていたのですね。
その時に、サイズを調整する予備シロとしてこれが機能するのです。
より大柄な人に受け継がせるときにエリを大きくしたい時にここをバラして新たに縫い直すことが出来るのです。
現代においてはそこまでする人はほぼ皆無でしょう。
でも、本来のスーツというのはここまで考えられていたのですね。
普段何気なく使っているスーツにはこんな秘密があるのです。
そのたった一着のスーツ、そのスーツが完成するまでには多くの人の手間と経験と歴史が刻み込まれているのです。
スーツって面白いですね!
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