土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
これから夏に向けてどんな生地で作ろうかな?とご検討されていらっしゃる方も多いことでしょう。
そこで生地選びの時のアドバイスを一つ。
高Super表記には注意
です。
- 高温多湿な日本の夏には耐えられない
今年も暑くなるのでしょうか。
なるんでしょうね。
予知は出来ませんので未来のことは分かりませんが、昨年並みには暑くなるでしょう。
そして湿度もヤバいでしょう。
この流れは変えられないのかなと考えています。
そんな夏を乗り切る生地はどうするか?
随分前から日本ではSuper表記が一般的になりました。
オーダーに限らず既製品でも袖についてる織りネームやPOPにもこのSuper表記が記載されているので一度は目にしていることでしょう。
そして気になる方も多いことでしょう。
正直夏物ではあまり重要ではないです。
むしろ高Superはデメリットになる可能性もあります。
このSuperというのは簡単に言えば、原毛の品質を表す単位です。
糸の太さは番手ですから糸の品質や太さではないですからね。
原毛がどれだけ繊細かを示す目安です。
そして近年はより高い数値をたたき出す生地(産出量以上という謎)が多いですが、そんな数値は果たして実用に耐えられるのか?問題があります。
冬物はさておき、高温多湿な日本においてはそんな繊細な原毛を使った夏生地だとすぐにヨレヨレになります。
パンツの折り目なんて朝出勤して昼過ぎには消えているなんてこともあり得ます。
必ずしも万人すべてがそうではないです。
少なくともボクのようなテーラーや服好きの方はその扱い方を心得ているので問題はないですが、一般論で言えばあまりお勧めできないです。
具体的な数値の目安としては120’Sくらいでしょうか。

このスキャバルの平織りがSuper120’sですね
この数値はどれだけすごいかというと、通常のメリノ種から産出される限界値とされています。
それなのにそれ以上の数値をたたき出している生地が山のようにある謎がありますが、この辺で十分に良質で且つ実用に耐えられると言えるでしょう。
もっとも単純に原毛の品質だけで良し悪しは語れません。
紡績といってどんな風に糸にするのか、単糸や双糸、その撚りの強さにどの程度の打ち込みで生地にするかなど多くのファクターがあります。
ただそのレベルはもうプロでも感覚で認識するしかない部分になってきますので、まずはこのSuper表記のマジックに踊らされないようにしてみてください。
例えばイタリアのカノニコは近年はオーストラリア産ではなく南米チリ産のSuper表記では80’sあたりをあえて使っていたりします。
ボク的には結構高評価ですよ。
何がいいかをネット上で調べれば調べるほど、色々な情報が出てきて踊らされてしまい訳が分からなくなってしまうことでしょう。
ですから、迷ったら信頼のおけるお店、テーラーに相談してみるのがいいでしょう。
例えばボクとかですね!
ぜひ良いスーツに出会ってくださいね。


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