ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
今日は少しだけマニアといいますか、業界人向けのお勉強的な内容です。
一般的にスーツなどに使われる服地は糸が細いほど滑らかでスベスベした風合いになります。
シルキー、ドレープ、スベリ、ツヤなど色々な表現がありますね。
日本ではより滑らかな光沢感のある生地ほど上質という認識があります。
そしてその上質な生地は細い糸を使えば使うほどより顕著に表現されていくことになります。
織物ですから基本となる三元組織(平織、綾織、朱子織)などによって差はありますが、今日はそのお話ではなくて、その使う糸の太さのこと。
業界人やアパレルスタッフさんのほとんどがどういうわけか勘違いしていること。
それがタイトルです。
・糸の太さは番手
・Super表記は原毛の品質の単位
まったくの別物ですよって話。
- 「Super120’sという細い糸を使っているのでとっても風合いがいいんです」
よくあるスーツ屋さんのセールストークですけど、ちゃいますねん。
糸太さは番手といいます。
82番手単糸とか100番手双糸使いとか、その番手の単位が大きくなればなるほど細くなっていきます。
通常スーツの服地で使用されるギリギリでは120番手くらいじゃなかったでしょうか。
これ以上の細番手の織物自体はほとんどないはずですが、あったとしてもあまりにも細すぎて、現代のピタピタ系のスーツではすぐに破けてしまいます。
ということで糸が細いというのは番手ということです。
Super表記は以前にも何度もお伝えしていますが、羊から刈り取った原毛の品質の単位です。
要は糸にする前の綿菓子状態の価値基準なわけです。
ですから例えばSuper120’Sでも82番手という太さの糸に紡績すれば82番手ですし、100番手の糸にすればそのまんま100番手なわけです。
伝わってますでしょうか?
綿菓子と糸では全然違うということですね。
無論高Superなほどそもそもの質がけた違いに良くなっていきますので、Super90’SとSuper120’Sの同番手の糸では風合いは違ってきます。
一般的には羊毛の代表的品種であるメリノ種の採取可能限界がだいたい120’Sくらいといわれています。
バリカンでバサッと刈り取ったそのほとんどはそんな高Superな品質ではないということなんですよ。
その中でも特に柔らかい産毛のような本当にわずかしか取れない原毛で高Super表記な糸を紡績して、その糸で織り上げていけば当然滑らかな生地になるということです。
ですから「Super120という細い糸を使っているので風合いがいいんです」ではなくて「Super120という一頭当たりわずかしか取れない希少な原毛を使っているので風合いがいいんです」が正解です。
スーツ屋さんにいって袖についているタグはそういう基準で見てみるとよいでしょう。
現実的な使い勝手を考えるとSuper100’Sくらいがガチにガンガン使うスーツとしては扱いやすいんじゃないでしょうか。
あとは同じSuper100’Sでも当然質感の違いは大いにありますからね。
それが番手です。
それ以外にもコストの差だけ質感も変わりますけど、まずは番手とSuperは別物とご記憶していただければ幸いです。
誰に向かって話をしているのかボクもさっぱりな内容でした(苦笑)
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