ターナー(土方)です。
オーダーメイドスーツって実に様々なんです。
世の中には様々な呼び方があり、売っている人も、また購入される人もそれがなんであるかというのを理解できていないと思います。
そこで、今回はオーダーメイドスーツの真実を語りたいと思います。
同業者的にはそうだと賛同してくるところもあれば、嫌がるところもあるでしょうけど。
極めてシンプルな答えから申し上げていきますね。
この世には、
・パターンオーダー
・フルオーダーの二つしか存在しません。
それぞれの意味は、
パータンオーダー・・・工場で作っている(ファクトリーメイド)
フルオーダー・・・その店の店主がまたはそのアトリエですべて作ってる(ハンドメイド)
ということです。
現在すべて自社のアトリエにてすべてを作る真の仕立屋、洋品店は激減しています。
つまり、今現在存在するほぼすべてのオーダー店や個人でやられている人はパターンオーダーにカテゴライズされます。
ボクも無論パターンオーダーに該当するということです。
このパターンオーダーというのが、実に様々な言い回しが使われているのが現状です。
そのお店のオーナーが自ら生地にチャコを引き、カッター(カットすること)さんがカットし、アトリエでミシンをかける。
正にワンオフです。これこそが正真正銘のフルオーダーといいます。
ボクも含めて、それらが無い、もしくは出来ないところは工場、工房を使います。
工房を使うということは、工房の職人さんが作るわけです。
そこには、見たこともないお客さまのスペックを無から作ることは出来ません。
ですから、パターン(型紙)から指定された数値で作っていきます。
なので、どんなお店であろうと、何を言おうがパターンから引くので、パターンオーダーになるのです。
1、そのパターンオーダーには、工場、工房のスタイルによって大きく分けて2つに分けられます。
パターンオーダー・・・量販店が扱う簡単なオーダー
名前そのものですね。基本はゲージ服となる基本パターンがあり、袖の長さ、ウエストなどの簡単な調整に留まります。
大手のチェーンさん、ブランドのブティックさんは通常これになります。
これはそのブランドのアイデンティがあるからですね。その形(パターン)そのものがそのお店であるからです。
よって好きな生地で、そのブランドの形を作るっていうのが正解でしょうか。
イージーオーダー・・・体型補正が出来るオーダー
ボクも含めてテーラーの名を冠しているところはほぼこれが該当します。
今の時代はコンピューターによる工程管理が一般的です。
ベースとなる基本型紙があり、そこに各テーラー(ボクも含みます)から送られてきた数値データをCADに打ち込みます。
この辺りが工場、工房によって差があり、どこまで受け付けてくれるかの差がありますが、その人にあった補正データを入力していき完成していきます。
それをCAMといいます。自動裁断機にてオートメーションでカットしていくというわけです。
メリットは機械での作業なのでサイズ誤差が少なくなりますから、数をある程度こなす工場では、コレが無いと仕事にならないと言えます。
また、最近に流行のチェック柄や非常にデリケートな素材は、職人さんが手裁断にてカットしていくという感じです。
また、カスタマイズが可能な工房さんもあり、テーラーさんの希望に合わせた創作デザインなどを受け付けてくれるところもあります。
例えばボクは、この世にないデザインを受注する場合はまず、職人さんに試作品を作成していただき、ボクの希望にそうようようであれば作成依頼をするということをしています。
そういうことが出来る工房さんとボクは取引をしているということですね。
で、ここで問題なのが、オーダー業界でやたらフルオーダーを名乗るお店。
これはベースがこのイージーオーダーですからね。だって工場で作りますから。
なぜか単に仮縫いをつけただけで、もしくはそれすらしないけどフルオーダーというところもある。
業界としてはやりたい放題な状況にあります。
あとはよくわからない言い回しが多いのもこのカテゴリですね。
そして、
フルオーダー・・・すべての工程をそのお店で完結するオーダー
全部自前で作るのでフルオーダーです。これこそがハンドメイドといいます。
非常に手間をかけて作成します。
まさに一点一点がワンオフモノですね。
ですから、流れ作業では作ることが出来ないレベルのクオリティを誇ります。
機械で作るモノに見慣れていると、逆に手作り感が物足りなく感じるという人も逆にいらっしゃいます。
前述のパターンオーダーにもかかわらずフルオーダーと宣伝しているところとは根本的に違う別物です。
アトリエがなければ、フルオーダーとかハンドメイドとは呼びません。
また、異様に安い(3、4万とか見たことがあります)フルオーダーとかありえないです。
その職人さんが数カ月かけて作る工賃がそんなんじゃ潰れます。
ざっと言うと、こんなところです。
2、では、このメリットとデメリットを説明しますね。
パターンオーダー
・パターンオーダー
メリット
難しい作業が無く、ほぼ工場のラインで流せますから、納期が早い場合が多いです。
最短で1週間~3週間くらいが一般的でしょうか。繁忙期やどの国で作るかによって輸送時間がプラスされるので変動します。
デメリット
当たり前ですが、サイズ感はそのお店そのものです。それ以上でもそれ以下にもなりません。
ですから、そのお店のサイズ感が完璧であれば問題ありません。
しかし、オーダーをされる方のほとんどは何かしらしっくりこないって方が多い。
そしてそれが合っているのかどうかさえわからない場合が多いの現状です。
そのブランドがお好きな方向けって感じです。
・イージーオーダー
メリット
体型補正によるフィット感が抜群です。これこそがオーダーのオーダーたるゆえんでしょう。
もちろん工場での作成ですから補正可能な限界値があります。
しかし、無茶なカスタマイズや多少強引なサイジングも作れてしまいます。
オーダーメイドの楽しさにオリジナルを作るというのがあります。
この世に一つだけのデザインや加飾が楽しめるので、気分がよくなりますね。
また、強引なサイジングとは、最近多いピタピタ系とか、バストに対してお腹まわりをやたら細くしたりすることが出来ます。
あんまりオススメしませんけどね。だいたいなんでも出来ちゃうのがメリットですね。
デメリット
採寸する人そのもの技術、テクニック、経験がもろに反映されるため、お店による当たりはずれがとっても大きい。
言い方が悪くなってしまいますが、オッサンの採寸では、オッサンになります。(ゴメンナサイ)
若い店員さんであれば、根本的な知識が無いから、理にかなってないテキトーな感覚だけのモノになってしまいます。
このイージーオーダーはとてもイジれるので、体型ピッタリに作ることはほぼ可能(よほどの特殊体型出ない限り)です。
であるがゆえに、カッコ悪くなる場合があります。
体型に合わせるだけではなく、体型に合わせつつカッコよく魅せることが出来るかどうか、これが選ぶ際のひとつの選択肢になりますね。
といっても作ってみなければわかりませんよね(苦笑)
さらに、一着作ったくらいでは完成しません。
なぜなら、店員さんもどのあたりが好みか、わからないからです。ですから、少しづつ何着か作りながらチューニングして完成させていく感じになります。
完璧を求めればですけどね。時間とコストはかかっていきますね。
最後に
・フルオーダー
メリット
なんといっても所有することの満足感でしょう。完璧なフルオーダースーツほど気分がいいものはありせん。
そしてそれが名店であればあるほど、そこで購入したこと、そのお店のお客さまになれることが一種のステータスになるでしょう。
そして、当然完璧な仕立てからくる着心地が最高です。
完璧なハンドメイドとは何かがわかるはずです。
随所に手縫いからくるゆとりと、着こんでいくとそのゆとりが体に馴染んでいき、しっくりとハマるはずです。
これはすべてそのアトリエで作らなければ出来ない感性の領域まで踏み込んだ一着になるということです。
デメリット
まず、高額になるということ。
これは致し方ないところ。
そのアトリエの職人さんの生活を支えるためには当然の対価です。
また、それだけの仕立てをするのですから、ハンパな生地は扱っていません。
名のある優良な生地しか扱っていないですから、もちろん高額です。
次に、時間がかかる。
これもしかたないです。
初めて注文するなら、数カ月はみておいたほうがいいでしょう。
だいたい仮縫いを2回挟みます。デメリットというよりその時間を楽しむっていうほうがいいですね。
2回目以降は仮縫いをしないのであれば、時間は短縮していきます。
最後、
遊べない。
なぜか?
イージーオーダーで出来るような遊びの概念がないのです。
ムリなスペックは断られます。当たり前です。
あり得ないパーツの組み合わせとか、色や柄の遊びも断られます。
極めてオーセンティクな一着になります。
これはそのお店の店主のプライドや経験がそうさせているので、これも致し方ないです。
もちろん扱う生地も面白い生地はあまりなく、比較的ベーシックな生地が中心になりますね。
なので、イケイケの一着は望まないほうがいいと思いますよ。
この辺がだいたいのメリット、デメリットです。
ここで、
3、仮縫いについて少しお話しておきましょう。
仮縫いとは本縫いする前段階に行う作業の一つになります。
フルオーダーはもちろんパターンオーダーでも存在します。
しかし、この2種類のオーダーでは目的がちょっと違います。
フルオーダーでは、店主みずからが、作っているために、仮縫いをほどいてまで、バランス取りをしていきます。
本縫いする前に確認しているんですね。
パターンオーダーの仮縫いは、パフォーマンス的な要素がほとんどです。
店員さんがそもそもわかってないんですから、確認しようがないです。
分からないから、多少ココをつまんでおきましょうくらいが限界です。
もしくは、店員さんが不安だから、確認したいから仮縫いってパターンです。
なので、仮縫いを取り入れているから完璧であるってことはないので、気を付けたほうがいいでしょう。
もちろん、先ほども申し上げた通り、技術の差があまりにもあるので、ちゃんとしたパターンの仮縫いが出来る人もいます。
なので、作ってみないとわからないのが現状でしょうね。
4、そろそろまとめましょうか
オーダーメイドと言う表記には、規制や規則が無く、そのお店やボクのような個人でも言い回しは実にさまざまです。
実に紛らわしいし、わかりにくい。
ですので、この世には基本2つしかないってことだけ覚えておいてくださいね。
アトリエがあって、そこで作ってくれるのが、フルオーダー
アトリエが無ければ、工場で作るのでパターンオーダー
ですから、ボクはパターンオーダーです。
ボクはそれが最良だと思っているからです。
かかるコスト、時間、そして様々なカスタマイズや汎用性、そのバランスがもっともいい方法だと思っています。
自由度が高いからこそ、楽しめるってことです。
そして、飛び切りの一着は結局はもったいなくて使わないってこと。
人それぞれかけられるコストが違いますが、毎日使うことが出来なければ意味がありません。
むろんデイリースーツがフルオーダーでももちろんいいですよ。羨ましいけど。
あとは、現在存在している生地は耐久性が古き良き時代に比べなくなっていますから、一生モノにならない。
であれば、割り切りもありだと思っています。
もちろんそんなにすぐにはダメにはなりませんから安心してくださいね。
ボクはこれからもみなさんにとってベストな選択をしていきたいと思っています。
毎朝クローゼットから自分の意思で自然に取り出してもらえて、着こなしてもらえるスーツ。
それが装いとして、着る人そのものを表している。
結果として所作がよくなり、着る人も、そして周りにいる人たちも笑顔になる。
間違いなく、評価が上がり、成績が上がります。
それがココアッソの「営業支援スーツ」です。
今回だいぶ長くなってしまいましたが、ぜひみなさんにも知ってもらいたいと思っていました。
ボクでなくてもいいです。
もっともっとオーダーメイドスーツというものを身近に感じて見てもらいたいですね。
何かわからないことがあれば、もちろんボクまでいつでもご相談くださいね!
今回はついに、
充実の5000文字越えを達成しました!
感無量です。
最後まで読んでくれたみんなありがとう!
たとえ流してくれたとしても、スクロールしてくれてありがとう!
もうあんまり長いのは書きません!!
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