土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
夏を快適に過ごすことが出来るスーツの素材は?
高温多湿な日本の夏をなるべく快適に過ごしたい。
誰もが思うことでしょう。
温暖化の影響なのか暑さがどんどんしんどくなってきていますし。
そんな夏でもスーツを着用したい、もしくはその必要がある時にどんな生地をチョイスすればいいのか?というお話です。
- ウールは最強の夏素材
まずウールという素材そのものが最強の夏素材です。
ウールとは羊毛のことで、イメージ的には冬を連想するかもれません。
ところがこのウールというのは冬は暖かく、夏は涼しくしてくれる素材なのです。
このウールという繊維は人間の髪の毛と同じくキューティクル(うろこ)が存在します。
これが湿度を帯びると開いて放湿してくれ、乾燥すると閉じるというような動きをします。
これによって衣服内の湿度をコントロールしてくれるようなっています。
また綿などの植物繊維と違って繊維の奥まで水分を吸収しにくい為ベタっとなりにくいという特性もあります。
そしてその性能を最大限に活かせるように糸の太さ(Super表記ではなくて番手)、織密度、通気性の良い織り方(平織り)にすると夏仕様にも冬仕様にもなるというわけですね。
- さらにモヘア混にするとさらにゴキゲンに
モヘアという素材をご存じでしょうか?
これはヤギの毛のことを言います。
ウールはオーストラリアをはじめとする一大産地が存在していて安定した供給が出来るのですが、このモヘアはそうはいきません。
現在の主な産地は南アフリカ共和国あたりになっていて、お国柄な部分と羊毛と違って一年に何度も採取することが出来ない、また一頭当たりからそんなに採れないということからそれなりに貴重な素材となっています。
この素材をウールと混紡した織物にするとかなり夏に気持ちの良い素材となります。
というのもこのモヘアはウールのようなクリンプ(縮れ)がないストレートヘアになっていて、とてもハリコシがあります。
パリッとした風合いになりますので、湿度の高い気温では触れていて気持ちが良いでしょう。
さらにこの素材は熱の遮蔽性が高いので衣服内の温度上昇を緩和してくれるでしょう。
このモヘアという素材を100%にして使うことは現実的に難しく(パリパリ過ぎて織物に出来ない)、ウールと混紡する使い方がベストとなります。

画像のカノニコの生地がウールとモヘアの混紡の平織り素材ですね
これはイタリアのカノニコですが、しっとりしたイメージとは全く逆のハリコシ感のある生地になっています。
この生地を使った一着であればかなり快適になることでしょう。
これから夏本番、そして今年も9月過ぎても暑さが残るのではないでしょうか。
そうなるとこのモヘア混生地を使ったスーツはかなり活躍してくれることでしょう。
ご参考にしてみてくださいね!


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