土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
VITAL BARBERIS CANONICO
生産規模も知名度も今やイタリアでは最大級の生地では知らない人がいないであろうカノニコです。
先日も少し取り上げましたが、いまやカノニコはオシャレなのにお手軽な生地をラインナップするポジションから抜け出しています。
センスのある色柄が揃っている定番のPERENNIALなどはそのままにどんどん新しいコレクションを発表してきます。
これからの時代はただ単に生地を織りあげているだけじゃ見向きもされなくなってくるということをちゃんと理解しているからなんでしょうね。
多様な生地を毎回発表しているところはいまやカノニコくらいではないでしょうか。
どこも縮小している感じがします。
そんなカノニコは流行りものだけなのか?と問われれば、そうではない昔ながらを意識した生地もちゃんと作り続けています。
これが地味にすごいです。
これも他ではみかけない。
COVERCOAT 21μ
通称カバート、カバートクロスなんて呼ばれているカルゼ組織の冬を代表する織物です。
目付440gという重量感は生地を触れただけではまったくわからないでしょう。
ケバのある目風でもなく、綺麗な杢調の質感と通常の綾織とは少し角度が違うナナメ綾がどこかでみたような気がすると感じる程度でしょう。
これを知っている方はボクと同世代の相当なマニアでしょう。
その昔ウールコートがあった時期が日本でもありました。
ウールコートと言っても、いわゆるチェスターフィールドコートではなく、フツーのステンカラーのラグランスリーブコートのウールバージョン。
この時代を彷彿させるような生地感なのです。
年代的にはバブル時代です。
21マイクロンという現代のウール生地ではまず採用すらされないゴワゴワの原毛セレクトしているのも好感度がありますよね。
より細番手が好まれる時代ですから、その原毛も繊細でデリケートものを使う時代です。(21μは糸の太さではなく原毛のクオリティの単位)
そんな時代にこの原毛を使い続けますよねってことです。
持続可能性という視点からいえば、理にかなっているとも言えます(繊細な原毛はそんなに採取できるはずがない)が、他ではちょっと見かけないということはそんなに注目はされていないってことで、それはすなわち少ないながらも一定の需要があるからなのか、それとも意地でやっているかのどちらかでしょう。
個人的には無くしてほしくないですね。
むしろもっと注目されてもいいでしょう。
多様性の時代ですから。
ハードスーツにしてよし、コートにしてもよし、クラシックな逸品としてとても仕立映えする生地ですよ!
色も8色ありますが、そろそろ品切れも出てきました。
お早めにどうぞ。
最新記事 by 土方 洋 (全て見る)
- コーヒーではなく珈琲という文化が日本にはある - 2024年11月24日
- 2025年問題って意識されていますか? - 2024年11月23日
- 新年をどのようなスーツで迎えるのがよいでしょうか? - 2024年11月22日
- コンパクトな臼引き電動コーヒーミルが超絶オススメ! - 2024年11月21日
- フランネルの季節がやってきましたね! - 2024年11月20日