土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
伸縮性のある生地が近年オーダースーツの世界でも一つのジャンルとして確立してきました。
やっぱりストレッチ性があると格段に着心地がよくなります。
何よりも動きについてくるこの感覚は堅苦しいイメージとは全く異なる快適そのものです。
- 一口にストレッチと言っても色々な種類がある
今では既製服の大半はストレッチが入ったものになっているのではないかというくらいに誰もが自然に受け入れているはず。
カジュアルに使うようなジャケットやパンツ、セットアップスーツといったアイテムはほぼストレッチを効かせたタイプではないでしょうか。
みんなが何気なく触れているこの伸縮性にはいくつかタイプがあります。
織物的ストレッチ
糸が伸縮する系ストレッチ
そして複合技ストレッチ
大まかに分けるとこんな感じです。
ちなみに今回は織物(テキスタイル)に絞ります。
似たような生地として編み物(ジャージ)が存在しますが、これはまったく別物になります。
最近はジャージ素材そのものはもはや一般的といえるほど普通に扱えるようになりましたが、編み物である以上伸び伸びなのは変わりありませんが、性格がちょっと変わりますからね。
織物の性質を利用してストレッチ性を持たせるタイプはオーダーメイドの世界ではもっとも古くから利用されてきました。
このタイプの良さは適度なナチュラルストレッチ性であるということ。
過度の伸縮性は耐久堅牢度が落ちてしまいます。
また型崩れも起こしやすいですから、あくまでもテーラードとしてのスーツであることを求めるとこの自然なストレッチ性がもっとも適していると言えます。
糸が伸縮する系とはその名の通り伸び縮みする糸を使って織り上げることを意味します。
最も多いのはポリウレタンなどのゴムのような伸縮性をもつ化繊糸を混ぜ込むことによって伸縮性を得るというもの。
これによってナチュラルストレッチでは不可能な伸縮率を得ることが出来ます。
既製服ではもっともこれが多く使われているのではないでしょうか。
デメリットはこのポリウレタンは加水分解といって、空気中の水分に触れるだけでも劣化を起こしてしまうという経年劣化が避けられないということ。
快適さゆえに寿命も早く来るということ。
どちらを取るかということになりますね。
そしてその織物的と糸的の複合技を取り入れている生地もあります。
こうなるともはやテーラー泣かせと言いますか、縫っているそばから伸びてしまうという難易度高めストレッチ生地となります。
メリットは最高に伸び伸びですが、精密には仕上がらないという感じですね。
ルーズに着用することを前提にすれば最高の生地ですね。
- まとめ
快適な方がいいに決まっています。
肩がこるようなバリバリの生地でピタピタに作ると身動きが取れにくくてストレスになってしまいます。
それを補うのがストレッチですが、その性質によって合う合わないがあるもの事実です。
快適な一着と出会うためにはやはりプロと相談しながら決めていくのがベストでしょう。
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