土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
FOX フォックス
オーダーメイドスーツファンの方にはもうご存知かと思いますが、英国に本拠を置く織元(ミル)です。
創業250年を超える、老舗中の老舗の歴史のあるまさに英国を代表する機屋さんであります。
その代表を務めるのがダグラス・コルドー氏。
今回3年ぶりに来日されました。
日本においてそのフォックスの生地を扱っている生地商社であるマルキシ本社にてそのコルドー氏の講演があるとのことで先日お伺いしてまいりました。
- フランネルへの想い・情熱・未来に向けたビジョン
フランネルという生地はご存知でしょうか。
ふんわりしていてしかもしっかりと打ち込まれた縮絨(しゅくじゅう)生地ですね。
現代においてこのフランネル=フォックス、フォックス=フランネルというブランディングを世界で成立させたのは紛れもなくコルドー氏の手腕によるところが大きいでしょう。
そのフランネルに馳せる想い、情熱、未来に向けたビジョンなどリアルに感じてきました。
誰もが当たり前に使っている服地、たかが服地ですがされど服地です。
コストを削って安価に大量生産することも可能な時代に、手間もコストもかけてじっくりと作り込む。
最新の織機を導入して歩留まりという人へのストレスを軽減しつつ、あえてスピードを1/3にまで落としてじっくりと織り込んでいく。
そんな織機への糸のセットはすべて人力です。
機械よりも正確で早く出来る職人さんがいる。(ちなみに経糸で3000本です!)
生地の縮絨加減も、生地の仕上げもすべて職人の感覚での手作業です。
まさに人財であり、驚くべき手間のかけようです。
ひとつの生地が完成するまでにかかる作業時間だけで36時間もかかります。
作業時間ですから、実際には何日もかけて織り上げるということです。
人と大切にし、モノを大切にし、ただしく未来を見据えた投資も怠らない。
本当に素晴らしいです。
フォックスは創業250年を超えています。
コルドー氏はすでに250年先を考えていると仰っていました。
スケールが違いますね。この画像でコルドー氏が指しているのは、フォックス社の創業2年目である1773年に作られた生地サンプル帳です。
1773年と言えば、日本では江戸時代ですよ!?
平賀源内さんがいた頃ですよ!?
そんな時代に現代に通じる生地を作っていたことに驚きます。
そしてそんな伝説級のお宝を直に触って紹介しているコルドー氏のお茶目さ。
少しづつ人的交流も復活しつつある中での、今回のお話は大変良い経験になりました。
ボクもすっかりフォックスファンになってしまいました。
ぜひみなさんもこの何気ない生地の裏側にある歴史、ドラマを感じてみて下さいね。
毎朝袖を通す時にきっといつもとは違う高揚感、みなぎる自信を感じることが出来ることでしょう。
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