土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
モヘアという素材があります。
この季節になると必ず登場する素材として、好きな人にはたまらない風合いを持っていますね。
今日はそのモヘアのお話です。
- シャリシャリした風合いが夏に最適
一般的にスーツやジャケットに使われる素材として一番有名なのはウールでしょう。
ウールとは羊毛のこと、つまりヒツジさんから刈り取った原毛から作られた繊維、ないし織物のことを差します。
ではモヘアとは?
これはアンゴラ山羊というヤギから採れた原毛を紡績した繊維、織物になります。
ヒツジとヤギ。
似ているようで全く違うのです。
ウールがなぜこれほどまでに普及しているかというと、その繊維としての性能の高さももちろんありますが、それ以上に生産性の高さが挙げられます。
羊さんの毛は通年どんどん伸びるので、年に数回刈り取ることが可能です。
対してモヘアは年に一回しか採れません。
しかも環境、気候に左右されるので生育場所が限られるという難易度の高い生き物でもあります。
主な産地は南アフリカ共和国で、民主化されてからモヘアの産出量が増えましたが、近年はその山羊の飼育環境に問題があるとのことでこの先またドタバタしそうなくらい安定供給がしにくい素材でもあります。
それでも昔から存在し、そしてこれからも存在し続けるのがこのモヘア素材です。
マニアならすでにご存じかたと思いますが、何といってもシャリシャリとしたハリ感が最大の特徴ですね。
このパリッとした風合いが最高なのです。
これはウールにはクリンプ(縮れ)といって元々伸縮性がある特徴がありますが、このモヘアはストレートヘアになっていてストレッチ性は皆無になる分、ハリコシ感があるのです。
光沢感もあり、さらには日差しを反射する力もありますので、これからの季節に最適というわけなのです。
このモヘアに関しては通常はコンポジション100%はまず存在しません。
通常はウールやその他の素材との混紡で使われることがほとんどです。
素材的なレアリティと流石に100%だとパリパリ過ぎて現実的な使い勝手が悪くなってしまいます。
そのバランスのとり方、調合の仕方が各織元の腕の見せ所ってことですね。
そのあたりを考えながら生地比べをしてみると面白いでしょう。
これからの季節のスーツ、ジャケットをどんなふうにしようかな?と考えているならば、このモヘアというキーワードも思い出してみて下さいね。
ウールでも、コットンやリネンとった素材とはちょっと違う硬派な一着になるでしょう。
ココアッソにも色々ありますので是非お手に触れてみて下さいね。
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