土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
先日投稿致しましたTさまのスーツのジャケットの仕様を特別に公開いたします。
Tさまから特に詳細に載せて宣伝に使って下さい!と色々と撮影させて頂きました。
基本的にどんなスーツであろうともボクの場合は手抜きはありません。
よくあるセール品はプロパー品とラインが違いますので広告の仕様と異なります的なことは一切ないです。
そもそもそんなことを望んでいらっしゃらないですしね。
しっかりと一着に集中して作成にあたります。
そんな中でも特に綿密に打ち合わせさせて頂き、その上でさらにボクなりのチューニングを施したのがTさまの逸品。
その魅力を掘り下げてみましょう。
・生地は平織組織のスキャバル社のコレクション名「コスモポリタン」のウールトロピカルをセレクト
この生地の特徴はサラサラ系であることでしょう。
近年のスーツ生地傾向からいくと減少傾向にあるのがこのウールトロピカルという生地ですが、やはり高温多湿な気候が日常となった現代ではあたらめてこの生地のサラサラ感がドンピシャにハマります。
それもそのはず、世界一の品質を誇るスキャバル社の目付230gという絶妙な肉感の生地ですから文句のつけようがありません。
基本透けないのですが、ご覧の通り光越しだとこんなに風を感じることが出来るというハイパフォーマンスを誇る生地です。
しかもスキャバルでありながらイタリア産というマニアックさで、英国のメインコレクションと違ってサラサラ系でヌメリと光沢感もあります。
コストをケチらないで完璧に仕上げた生地は最高です。
・芯地をすべて省いた超絶軽量大身返し仕様で作成
通常スーツには芯地を入れるのですが、それをすべて取り外し、限界まで軽く仕上げています。
しかも芯地を取り除いてもくたびれ感が表に出てこない様に大身返しという生地を贅沢に使いつつも軽くするようにしています。
もちろん芯地が無い分シワやヨレに対する耐性は落ちますが、何よりもこの絶妙な肩回りのどこにも当たらない感と相まった軽さを知ってしまうともう昔のスーツには戻れないでしょう。
それくらい快適仕様です。
またイタリア産の既製品に見られる肩まで裏地を外すということはボクは致しません。
ここだけは裏地をつけておいた方が滑りが良くなり着心地がアップするからですね。
・襟幅太めな9.8センチの段返り3つボタン仕様
襟幅は一部マニアの間でハマる方が増えております結構太めの襟にしています。
ただ太いだけだとバランスが悪いですからゴージ位置との配分を調整しています。
それに段返り部分にボタンをプラス。
3つボタンですが、この一番上の釦はあくまでも飾りで、使うことはありません。
アクセント釦ですね。
イタリア職人の遊び心から生まれたというこの襟の美しい返しの段返り3つボタン、カッコ良くないですか?
・フラワーホールは手仕上げの涙もっとい仕様
通常フラワーホールを始めボタンホールは機械にて作成しますが、今回はこのフラワーホール部分は手仕上げにしています。
しかもここはあえてTさまにも内緒で「涙もっとい」にしていました。
ぷくっと膨れた感じがアクセントになっていい感じではないでしょうか。
どこをどうみても特別なオーダースーツにしか見えないスペシャルですね。
・袖釦はもちろんの本切羽にライトカラーの水牛釦をチョイス
Tさまの袖口に対するこだわりは強く毎回特別仕様に致しますが、今回はオーセンティックに重ね四つボタン仕様でセット。
その分釦の色をライトカラーをチョイスして軽快感を出しています。
水牛釦の良いところは一つとして同じマーブル模様はないということ。
ベースとなるスーツ生地に対して明るめになる為に水牛釦本来の重厚感プラス、視覚効果として活動的な印象にすることが出来ます。
ぜひこのボタンも紹介してくださいとのこと。
これもいい感じではないでしょうか。
ちなみにボタンも機械ではなく手仕上げで取り付けています。
・ちゃんと柄合わせと実はフルステッチ仕様
当然と言えば当然なのですが、ちゃんと柄合わせをしています。
ここに違和感を感じさせないし、あえて大きく語ることもあまりないのがこの柄合わせです。
そして、実は画像では目立たないかもしれませんが、縫い目という縫い目全てにステッチを施しています。
これがあるかどうかで分かる人には分かる贅沢仕様ですね。
・裏地のパーツはすべて統一
袖裏パーツは通常は専用の柄物を使うのがボクの基本ですが、Tさまからのリクエストで肩当部分と同じ仕様に。
合わせてめくると出てくるところも全て同じようにしています。
基本見せびらかすこともなければ見られることもまずない部分なのですが、ここもリクエストにて色々と変えていくことが出来るのがオーダーメイドの楽しさですね。
・袖付けはマニカカミーチャ仕様
これ縫製不良ではございません。
れっきとした仕様です。
これをマニカカミーチャとか雨降り仕様などと呼びます。
通常のジャケットの袖付けはいかにして綺麗に丸く付けるかがキモになりますし、ペコっとエクボがあるとそれこそが縫製不良と呼ぶべきなのですが、このシワシワなのはわざとつけています。
イタリアの南部地域のジャケットで良く採用されていることからナポリスタイルなんて言葉もありますね。
かの文豪ヘミングウェイも愛した袖付け仕様です。
今回はいつもより強めのシワシワ感を出すように特別にチューニングしました。
平織素材との相性も良いのでこれは実にいい感じに仕上がりましたね。
- そろそろ一旦まとめ
愛のあるジャケットはいつまでも語れてしまいますね。
ひとつ間違いなくお伝えしたいのは、これが正解のゴールというわけではなく、こういう世界観のジャケットもあるということであります。
ボクが研究しているターナースペシャルカットモデルの延長線上にあるのがこのTさまのジャケットであります。
ナポリの風を感じたい方にはとてもハマる仕様ではないでしょうか。
何よりもずっと羽織っていても違和感を感じないジャケットです。
撫肩で前肩でお悩みの方におススメですね。
ここまでこだわらなくても十分に愛のある一着になりますからね。
ぜひご相談ください。
最後に全身の着用画像はコチラの記事でご覧くださいね!
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