土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
高いオーダースーツ生地と安い生地は何が違うのか?
オーダースーツというのは一般論として安価なお買い物ではありません。
もちろんボクの場合は超一等地にお店を構える老舗のテーラーではありませんから、そんなに無茶苦茶な価格にはなりません。
そして、チェーン店や量販店にあるような既製品の受注生産システムのような安価にももちろん出来ません。
あくまでもボクが出来得る限りの価格でお仕立てさせていただいております。
価格以上にモノとしてのスーツ以外にも得るものがあるのがココアッソのスーツであります。
基本仕立てることに関しては安価モデルと高額モデルで差はありません。
手抜きなしです。
安く感じさせるために見世物的に海外の安価な量産工場に出すといったよくあるパターンはまずありません。
どんなスーツであってもココアッソのスーツです。
それでも価格差が大きく変わるのは生地のお値段が違うからです。
どうやっても、どうしてもこの生地の仕入れる値段の差が大きいためにココアッソではコンフォートラインやハイラインと言ったグループ分けをしているということです。
じゃあ、その生地の違いはなんなんだ?というお話です。
- 価格の差は確かに存在します
ハッキリ言うと、値段に比例して確かに質感という意味で差はあります。
エントリーグループに属する生地と世界のてっぺんに位置している生地はまったく違います。
どちらが良いか悪いかという議論ではなくて、本当に差はあります。
クルマに例えるならば、クラウンとカローラはやっぱり違います。
カローラがどんなにモデルチェンジするたびに質感を上げていったとしてもカローラであることには違いがありません。
クラウンにはなれません。
カローラという車のポジションやカテゴリーで最上を目指すことに意味あり、それがコンセプトですからね。
日本の最上級サルーンを目的として開発をしていないのですから当たり前です。
逆にクラウンは「いつかはクラウン」と大昔にあったフレーズのように、現在はレクサスにプレミアムのポジションを譲りましたが、いまだに日本車の最上級に位置している車です。
出来る限りのコストをかけてその最上のポジション維持すること、クラウンという名を冠した車に相応しい車格があるからこそ現在も存在しているのですよね。
オーダースーツに使われる生地もまさにその車と同じです。
最上を求めるとそもそものコストのベースがまったく違ってきます。
ボクが扱うスキャバルなどは、自らの名にふさわしい質感を求めますので、どう考えてもチープとは無縁の存在になります。
スキャバルが車で言うところのカローラの生地なんて作らないのです。
当然車で言うところの乗り心地ではありませんが、身にまとった時に身体に吸い付くような感覚を覚えるのは当然なんですよね。
ではボクが扱うコンフォートラインのクラスはどうかというと、質感としては全然悪くはありません。
現行モデルのカローラの質感が低いと感じる人はまずいらっしゃらないと同じで、すこぶる上質です。
時代の技術の向上や色柄出しといったセンスの向上はとどまることを知らず、どんどん進化しています。
前世紀では考えられないような生地がどんどん生み出されています。
ただし、それはあくまでも車格で言えばクラウンではないところにあります。
限られたコスト資源の中で何が出来るのかを突き詰めているということです。
正直ぱっと見ではプロでない限り見分けは付かないくらいに進歩しています。
それでも仕立てた時に違いはあります。
それが価格の違いということですね。
それと感覚的な部分になりますが、心の満足度というのもあります。
極端な表現になってしまいますが、たとえ話として宿泊先が東横インなのか星野リゾートなのかってやっぱり差はありますでしょ?
せっかく休日を利用して価格ではない価値を得たいと思うなら星野リゾートに行きたいし、それによって心が満たされることってあると思います。
逆にビジネストリップであるならば、駅近で即アクセス出来る東横インのほうが良いじゃないですか。
余計なサービスも食事も要らない分、自分の出来ることに集中出来るわけですし。
ちょっと例えは微妙ですが、だいたいそんな感じです。
それがブランディングってやつですけどね。
- まとめ
高いオーダースーツ生地と安い生地の違いは確かにあります。
厳密には羽織った時の感覚的な部分、心に響く満たされ感といった部分になるでしょうか。
マニアックに言えば、その原毛の品質の差や打ち込み本数の違い、最後の仕上げに至るまでのプロセスの違いなどもあります。
ただ近年の技術的な進歩がすごいのでぱっと見は分からないくらいに良いものばかりではあります。
どれが自分のコンセプトや用途にあっているかという視点で選んでよいという、いつもボクが申し上げさせている選択が間違いないのはその為です。
会社を経営されている代表であるならば、その看板に相応しい服装が必要ですし、また不必要にコストをかけ過ぎてしまいローテーション服に入れられなくなってしまうのも本末転倒ですからね。
今はオーダースーツ生地の世界は百花繚乱の時代ということです。
自分にとってベストな生地を選びましょう!
それが正解ですよ!
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