土方洋(ヒジカタヒロシ)ニックネームのターナーです。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
今年は異常気象なのか地球温暖化なのか、暖冬でしたね。
それもご記憶に新しいかと思いますが、夏の暑さがしつこく残り続け、秋を感じ始めたかなと思ったらそのまま寒くなりきらずにもうすぐ春がやってくるといった流れでした。
冬らしい冬を実感した日は実際のところ数日くらいではないでしょうか。
現実にボクが今季着用していたコートは薄手バージョンばかりで、肉厚の極寒対策仕様のコートの出番はほぼありませんでした。
ということで、ボクはアパレル業界にいる側としての発言ですが、相当な量の冬物衣料が売れ残ってしまっているのではないかと思っています。
というよりも、現実にそうでしょう。
メンズ、レディス共に春物に移行しきれない状態といいますか、冬物を何としてでも消化したいという売り場構成が目に付きます。
結構大変だなと。
ボクは仕立屋という立場から、既製服は扱っていませんから在庫の消化というような概念はないのですが、かつてはそれを経験していますのでその大変さは良く理解しています。
これは過去にも何度も記事にしていますが、もうこの大量に作り続ける衣料販売という概念はそろそろ終わりにしたほうがいいんじゃないでしょうか。
約3年ほど前に出版された書籍「誰がアパレルを殺すのか」にも書いてありますが、昔からアパレルにはきらびやかな表の逆側の裏側が存在しています。
ホント昔からあるのが、通称バッタ屋さんです。
要は大量の不良在庫を箱買い、または量り売りで引き取る業者のことですね。
もちろん出所は明かさない様にして、いわゆるその手のセール屋さんに流れていくやつです。
どこにでもあるでしょ。
そういうお店が。
そこに行き着くわけです。
で、そこはもう最終手段なわけです。
原価どころかほとんど二束三文にしかならないわけですよ。
量り売りですからね。
どれだけこだわろうが、コスト賭けようが、どこの工場使おうが関係なし。
断腸の想いでしょうけど、在庫を処分しないといけないのです。
また、海外のロイヤルブランド系のアパレルでは売れ残りは燃やしているとかで相当叩かれていましたね。
ボクは正解だと思ってますけど。
安く叩かれてどこかに流すよりも燃やした方が全然ましです。
温暖化とかの話は無しでね。
どちらにも言えることは、もうお洋服が余り過ぎってことです。
そんなに大量に要らないでしょ。
某ショッピングモールにて視察すると、春物だろうが冬物だろうが、すでにセールのPOPに店頭ではスタッフさんが必死にタイムセールでさらにお買い得って叫んでいました。
じゃあ、定価はなんなんだよってことではないですか。
どうせ売れないんだったら、作らなきゃいいのにって思いません?
ボクがこんな発言していいか分かりませんが。
もう最初から疑惑の定価にして、値下げありきの売り方で、品質を落とす事ばかりしてきたどこでも同じような大量の既製品を買う理由がどこにも見つからないんですよね。
もうすでにクローゼットに入りきらないほどのお洋服を持っている人がそれでも買い替えたいと感じるような「何か」がない。
燃やしたり、バッタ屋さんに引き払うくらいなら、作らない選択肢はかなり現実的じゃないです?
それじゃ、商売にならないじゃん!って思うのが普通なんでしょうけど、そもそもすでに商売になってないじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
アパレル業態は変化のスピードが遅すぎるような気がします。
これだけ業界全体がもうダメだと認識しているのに誰も手を引かないんですからね。
ビジネスモデルを改めないと。
もっと言えば、お洋服を作って売るという仕組みから離れないと。
ショッピングモールに出店すれば何とかなるような時代はもう20年以上前に終わってますよと。
だってどれだけコストをかけてもスタッフさんが手に入らないんでしょ。
と、まとまりがありませんが、ボクの考えは概ねそんなところです。
なので、この春はお洋服の買い替え時はよーく吟味してからでよいのかなと思いますよ。
オーダーメイドはもちろん大丈夫です!!
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