ターナー(土方)です。
ボクは恵比寿で営業支援スーツというオーダーメイドスーツの仕立屋をしています。
オーダースーツの一番の楽しみは何と言っても生地選びでしょう。
あれこれと色々と見比べる時、次から次に魅力的に感じる生地が現れて・・・
悩ましくも楽しいひと時ではないでしょうか。
中々選びきれないという時に選ぶポイントを今日はご紹介します。
- シワに強い生地だと夜までクタクタになりにくい
もし営業などで一日外出するような場合、または出張で長時間の移動と着用をする場合は、やっぱりシワになり難い生地のほうがいいですよね。
湿度の高い日本ではどうしてもムシムシしてしまい長時間座っているとパンツがヨレヨレになってしまう、またはとても風合いが柔らかくて気持ち良いのだけど、腕組みしただけでシワになってしまうような生地もあります。
それらの生地にも良さはあるのですが、そうじゃない方が良い場合もあるはずです。
現実的な使用目的がハッキリしている時はまずそこにフォーカスしてみると絞り込みやすいでしょう。
今回はそのシワになり難い生地から選びたいと思った時に思い出してもらえるとよいフレーズが「PLY」です。
PLYは日本語でプライと呼びますので以降プライにしましょうか。
全てのオーダースーツ屋さんが知っているないしは扱っているかは不明ですが、一般的な仕立屋さんというカテゴリのお店では必ず存在する生地のことですね。
正確には生地に使っている紡績した糸のことを表現する用語なのです。
タイトルの2PLYとは2つの糸を撚り上げていますという意味です。
日本ではこれを双糸と呼びます。
- しめ縄のように強くハリコシのある双糸を使うとシワになり難い
しめ縄って恐らく誰もが見たことありますよね?
あの状態の糸のことを双糸と言います。
羊から刈り取ったわた菓子のようなスライバー(原毛)を撚りをかけて一本の糸にしていきます。
これを紡績と言いますが、その撚り上げた糸ともう一本の糸をもう一度より合わせるのが双糸ということです。
こうすることでハリコシ感が生まれてシワになり難くなるということですね。
さらに強撚糸といって撚りを強くかけるとさらに丈夫な糸になりますから、パリッとした風合いの生地になっていくということになりますね。
通常このパリッっとした風合いの場合は生地にする時に経糸も緯糸もどちらもこの双糸を使っています。
これを2/2の双糸使いなんて業界では読んでいますが、そんなことまで覚えなくてもいいですからね。
ただ一般的に認知されている通り、このタテヨコ双糸で織り上げた生地は主に英国産が有名です。
逆にイタリア産の生地は緯糸をあえて単糸にすることが多く滑らかな風合いになるので、お国柄の印象と相まって分かりやすいですね。
因みに英国でもイタリアでも必ずそうしているわけではなくて、イタリア産でもタテヨコ双糸の生地はありますよ。
- まとめ
今日は用途が一日着用していてもへこたれないスーツにしたい時の選ぶ基準としてPLYをお勉強しました。
沢山の生地から選ぼうとするとどうしても迷ってしまい、なかなか見つけられないなんてことがあるものです。
それはそれで楽しいのですが、どこかで決断しないと先に進めませんから。
そんな時に、もしこの基準で選びたいとなった時にご参考にしてくださいね!
最新記事 by 土方 洋 (全て見る)
- 2025年問題って意識されていますか? - 2024年11月23日
- 新年をどのようなスーツで迎えるのがよいでしょうか? - 2024年11月22日
- コンパクトな臼引き電動コーヒーミルが超絶オススメ! - 2024年11月21日
- フランネルの季節がやってきましたね! - 2024年11月20日
- チェックするときは紙を未だに使います - 2024年11月19日