スーツのパーツを覚えておきましょう Vol6です。
今回は、ジャケットの構造のお話です。
というより、仕立て方法とでもいいましょうか。
袖付けの方法についてのお話です。
大事な部分なので、今回はここだけをフォーカスしていきますね。
今回もFacebookページのリライト加筆訂正版です。
【腕の付け根のお話】
いわゆる袖付けの方法のことです。
ジャケットを作成する工程においてもっとも高度な技術が要求される部分なのです。
肩まわりから袖の付け方によってジャケットの見栄え、スタイルが大幅に変わっていきます。
一般的にオーダーメイドの世界では、比較的当たり前の部分なのですが、なかなか伝えられてない部分でもあります。
また、オーダーメイドでもパターンオーダーレベルでは作成できないでしょう。
既製服では、この部分がアイデンティティと言いますか、アイコンになってる部分です。
ではでは、紹介していきましょう。
男性用のジャケットには主に3つ付け方があります。
・割り袖
もっとも扱いやすく、ほぼすべてのジャケットがこの付け方です。
平面である生地を少しづつ、丸めるように追い込んで取り付けていきます。
この工程のことを「イセ込み」といいます。
手間と集中力が要求される部分です。シワを作ることなく、ナチュラルに仕上げるのはとても大変なことなんです。
ここが、うまく仕上げられていないと、業界用語で「エクボ」というのが出ます。
ペコンと部分的に凹んでます。
既製服をもし見に行く機会がありました、この辺をチェックしてみてくださいね。
往々にして、価格に比例して良くなっているはずです。
また、変則的なバージョンで、「マッピーナ」というのもあります。
袖付けはイセ込んでますが、肩パットを入れてないタイプ。
見た目はスッキリしてるけど、軽くて、アームが動かしやすいのが特徴です。
その分、型崩れは早くなります。普通に使う分のは変わりませんよ。
バッグを肩に掛けるような場合の話です。
いずれにしても、基本はこの「割り袖」です。
・袖高
「ビルドアップ」ともいいます。袖付け部分を盛り上げるように付けるのが特徴です。
やはりメンドクサイ付け方で、さらに高度が技術が必要です。
テーラーによってはコンケーブショルダーと混同しているところがありますが、少し違います。
肩先までのショルダーラインはそのままに袖付けを高くするとブリテッシュテイストなカッチリ感がでます。
コンケーブとはショルダーラインを窪ませるようなラインのこと。
昔のフレンチテイストなスーツの特徴なんて呼ばれていたラインの作りのことですね。
イタリアの生地にあるような、柔らかい生地だとなかなか表現が出来にくいので、打ち込みのしっかりしたハードな生地で作成するとカッコイイです。
スーツというより、背広って表現がピッタリのクラシックな印象に出来ます。
・差し込み
「マニカカミーチャ」「シャツ袖」「雨降り仕様」といろいろと呼び名があります。
文字通りパットやたれ綿をいっさい使用せずに、シワシワに取り付ける方法です。
これはこれで難しいです。
イタリアは南部のナポリスタイルとも呼ばれているユルいスタイルになりますね。
文豪ヘミングウェイが気に入っていたのがこのマニカカミーチャとも言われていますね。
このシワ感を良しとするようなジャケットスタイルがオススメです。
上下揃いのスーツでは、慣れていないとイキナリは難しかもしれませんね。
これ、好きな人にはたまらないものがあります。
この仕様は、ビルドアップとは逆に、ハードな生地よりも、柔らかめの生地のほうがオススメです。
すこぶる快適な仕様です。
このように、袖付けのスタイルを変えるだけでジャケットの印象、着心地が変わるのです。
この辺りは、テーラー屋さんの好みや、技術によって差が出る部分です。
スーツ屋さんに行く機会がありましたら、この袖付け部分を見てみてくださいね。
さっきも書きましたが、あまり激安店にいくと縫製不良のエクボが出ていて参考にならないかもしれません。
ちゃんとしたところがオススメです。
オーダーメイドっていいでしょう?
コーヒー飲みながら、いろいろ妄想膨らませながら、ユルく作っていきましょう。
そのほうが楽しいですからね。
楽しくないオーダーメイドなんて作りたくないでしょう?
というわけで、ボクは予約制にしています。
ゆっくりお話させていただきたいからです。
ご予約は、
お電話、お問い合わせメール、Facebookからでも可能です。
お電話以外は24時間受付中です。
そろそろ夏ですよ!
急ぎましょう!
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