こんにちは
スタジオ ココアッソ
代表の土方です
スーツなどはいったいどれくらいで寿命がくるんでしょうか?
これは、最初にいうと個人差がありすぎて、一概いえないのが正直なところです。
なので、目安をお話してみますね。
ズバリ、
明らかにテカリが目立ち始めたころがお買い換えの時期でしょうか。
よくジャケットのヒジのあたりとか、
パンツではお尻とか、モモはテカテカになるでしょう?
アレです。
テカリってやつはもう何をしても戻らないんです。
原因は擦れです。
ウールというのは表面に、スケイル(ウロコ)があります
人間の髪の毛と同じなんですよ
わかりづらいかな?
表面にあるウロコがキモなんです。
拡大図にあるウロコがスケイルです。
もともとはこれがあるんです。
これが人造繊維、化学繊維では絶対にマネできないモノなのです。
ちょっと話それますが、このスケイルが開いたり閉じたりすることによって、調湿してくれているのです。
しかも、この湿気は繊維の表面に留まり奥にしみこまずに放湿してくれるんです。
だから夏はべた付かず蒸れにくく涼しくて、冬は暖かいのです。
どんなに化学繊維が進歩してもこれは絶対マネ出来ないのです。
ちなみに、綿なのどの植物系繊維は繊維の奥まで浸みこんじゃうのですね。
だから綿は乾かないんです。
綿100%のシャツがクタクタになるのはそのためなんですね。(この話題ももう少ししたらなにかしらやろうかな)
ポリエステルなどのは絶対にしみこまないです。
その代わりに、繊維の断面を異形断面といって、〇じゃなく、✚型にしたりして、汗などが留まることなくすばやく流れるようにしてるのです。
これがドライ素材ってやつです。
代償としてムレますがね。
話を戻しましょうか。
この大事なスケイルが、着こんでいくうちにはがれてしまうんです。
そう、テカリのはじまりです。
一度はがれたスケイルはもう元に戻らないのです。
一日着たら最低3日、できれば4日休ませてあげたいのはこのスケイルを守るためなんですね。
着用後のウールはこのスケイルが湿気を含んでいるので、開いた状態になっています。
これが元に戻るには時間がかかるのです。
もし、連続着用ばっかりしてるとどうなるか?
開きっぱなしのスケイルが擦れて、剥がれてしまう、またはフェルト化していまいます。
お分かりになりましたか?
なので、このテカリが出ないように休ませるなどしていただくと寿命が格段に延びるんです。
ちょっと待て。
昔より今のスーツのほうがすぐダメになるんじゃないのか?
と、思う人おりませんか?
答えは、
「イエス」
理由はですね、
昔の生地より繊細な生地を求めているから、
それが一般化しているからです。
昨日もお話しましたが、ウール本来の限界よりも繊細な原毛を使う生地が多いからです。
昔AWI(オーストラリアン・ウール・イノベーション)という組織(ウールマークを発行している組織)わかるかな?
そのAWIのアジア開発センターが日本にあって、
場所は日本の繊維の聖地愛知県一宮(尾張)です、
そこの所長さんから講義を賜ったことがあるんです。
その方のお話では、Superは80くらいまでが望ましいっておっしゃっていました。
もうそのレベルの生地はないんです。
デイリーに着るにはデリケートな素材が一般的になっちゃんたんですね。
さらに、
ローコストを追及しすぎるあまり、生地の打ち込みが甘い、スカスカな生地が多くなってしまった。
ツヤを求めるあまり、糸の撚りが甘い。耐久性のない糸を使った生地が一般化してしまった。
そんなこんなで、昔よりも生地そのものの耐久堅牢度は落ちてます。
まとめます。
それでも今時、バブル前にあったような昭和の生地はさすがに時代に合いませんから、
ほんの少しだけ、愛着をもって接してくださいね。
お手入れ方法は、バナーに貼ってありますから参考にしてくださいね。
それだけで、1,2年寿命を先延ばしにすることが出来るはずです。
生涯現役で着用できるスーツは現実問題としてないと考えたほうがいいですが、
お気に入りのスーツは少しでも長く相棒として使ってもらいたいですね
今日はこんなところでお開きにします。
ではでは
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